怠惰と快楽の技術

あるいは勤勉の敗北

20200615-16 オランダ国立劇場《サロメ》、グローブ座《夏の夜の夢》 他

0615

 朝起きてすぐオランダ国立オペラのイヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出《サロメ》を観る。現代に移した演出で、なんとヨカナーンが全身タトゥー&ドドメ色タンクトップのおっさんなのである。マフィアのヘロデ王と下っ端ドラッグディーラーのヨカナーンみたいな演出だったのか? ヨカナーンは割とサロメに気があるというか同情的?な感じで、断首されず血まみれのまま銀の盆で運ばれてくる(しかも動く)。ドドメ色のタンクトップにはよく見るとサロメの服の色と同じ色のところがあって、最後それがヨカナーンの血に塗れるというのもよかった。また七つのヴェールの踊りでは後ろの壁にヨカナーンと踊っているサロメの映像が投射され、ヴェールを被るのは周りにいる人間たち、というのも不気味だった(曲が一番激しくなるコーダでピタッと動きを止めるサロメ)。しかしこう見てみると「サロメ」自体ヨカナーンくらいしかサロメに対等の立場で話をしないんだなという気付きがあった。

 午後は友人と誘い合わせて東京の映画館に行き、ズラウスキー監督の「ポゼッション」を観る。とにかく女が叫んで髪を振り乱すというやつなのでなぜか黒沢清を思い出した(なぜ…) とにかく円運動を繰り返すカメラ、圧迫感のある顔面アップ、絢爛な光をたたえた異形の造形など割と気に入った。

 その後IKEAに行って豪遊した。レストランがすごく学食っぽくて懐かしさを感じる(あとドリンクバーが妙に充実している)。スモークサーモンとか美味しそうだった。f:id:violence_ruin:20200617003842j:image

IKEAだったので大興奮してしまった。食器がそれなりの質でかなり安いのでここで揃えりゃよかったなと後悔した。鮫とコップを買った。

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あとブックオフ須賀しのぶの「キル・ゾーン」「流血女神伝」がほぼ揃っているのを見て、110円の文庫本を40冊弱一気買いするという蛮行を働いてしまった……(実はkindleで持ってるんだけどね、あとがきが無いのが不満で……)。

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0616

 朝カラオケに行って歌の練習したあと、モネ劇場の「ベアトリスとベネディクト」を観る。台本を改変して展開を変えるというあんまり出会ったことのない演出だった。エローに横恋慕した楽長のせいでエローとクラウディオが破局し、その直後にベアトリスとベネディクトが結婚するという改変が入る。あんまりうまく行っている感じはしなかった。

 夜はグローブ座の「夏の夜の夢」。これは本当に面白かった。この前見たOldVic+BristolOldVicの「怪物はささやく」で主人公をしていたマシュー・テニスン演じるパックが不気味かわいい感じで、ジョン・ライトのオーベロンがめちゃくちゃハグしたりチューしたりしててよかった。職人たちがとにかくギャグに全振りしていて、ラストの素人演劇がすごく面白かった。観客も大ウケしてた。現地時間で28日まで見れます。

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