怠惰と快楽の技術

あるいは勤勉の敗北

20200606-07

0606 

 朝、少しだけピアノを弾いた後歩いて数十分くらいのところにある公民館に行く。発表会がなくなってしまった代わりに先生が一人ずつ録音をしてくれた。平均律2巻の24番を持っていったんだけど、緊張してフーガがところどころ破滅したので世の音大受験生とかは大変ねと思った。流石にその後は疲れてしまったので電車で帰って、チェーンのカフェでお茶をして帰り、高村薫「李歐」をちょっと読む。

 知人とオンライン上映会としてMETの「皆殺しの天使」を観る。映画館で見た時には気づかなかったけど、1幕ではみんなすんごい変な演技をしている。アリス・クーテのドレス姿が見れてよかった(妙なカバラをする婦人というアレな役柄だけど…)。イェスティン・デイヴィスはシスコンのにーちゃんを好演していたしオードリー・ルナはやっぱり人間やめてた。それにしてもトーマス・アデスの指揮って「夜ごとの美女」のジェラール・フィリップみたいだよねえ。

 その後続けてパリ・オペラ座の「リゴレット」を観る。娘を殺した後の老いたリゴレットがずっと舞台にいて回想をするような演出。リゴレットの道化っぷりとか娘に対する執着心の描き方の気持ち悪さ(幼少期から今までの計4人の娘に囲まれるのは限界でしょ)とかはよかったんだけど、なんか最後の方とか老いた方のリゴレットがah~~~!!って嘆いているだけになるのでちょっとそれはどうなの?と思った。ダンボールっぽいものを多用した美術は結構「リゴレット」という作品がもっているある種の虚無感をよく掬い上げているような感じで好感が持てた。

0607

 朝ちょっとだけDBHのギャビコナとかコナギャビを漁って二度寝をし、その後高村薫「李歐」を全部読む。ちょっとこれ、凄い作品ですよ。

 夜は大学時代の友人たちと「李歐」で読書会をする。李歐の回想で初めての殺人とキャベツが分かち難く繋がっているから一彰もそれを追体験するために脳内で敦子を殺しキャベツを買って帰るのだ、という指摘に一同色めき立つ。

 その後知人とオンライン上映会でMET「オテッロ」(2015)を観る。おそらくオテッロの疑念を象徴するであろう不透明な建物が並ぶセッティング。この前観たMET「リゴレット」でタイトルロールをやっていたジェリコ・ルチッチのイアーゴがよかった。