怠惰と快楽の技術

あるいは勤勉の敗北

20200411-12

0411

 夜にマックス・オフュルスの「快楽」「輪舞」をkastして観ようと誘い合わせていたので再生環境を整えるために朝からてんやわんや。まず数日前に買った外付けドライブがDVD-R/RWしか受け付けてくれないことに気付いて頭を抱える。もともと持っていたやつはドライブ側の端子がminiUSBというちょっと今どきそこらじゃお目にかかれない旧式のやつで、これを機に新調しようと思っていたのだった。きちんと調べものをせずにどんぶり勘定で安いものを買い、結局無駄金を払う羽目になるのは、私の悪癖のひとつである。

 仕方ないと気を取り直して地元の百均やデパートを巡るもminiUSBのケーブルなど売っておらず、大きな電気屋がある街まで電車で行くことになった。休日に電車で移動するなんていつぶりだろうかと思いつつ昼時の繁華街に繰り出したが、やはり人通りは目に見えて少なく、入店制限を掛けている手芸屋の前にマスク用の布を求める人々が2メートル間隔で並んでいたり、個人商店が弁当や持ち帰りの張り紙で人を呼ぼうと努力をしていたりする姿が痛ましい一方で、マクドナルドには大勢人が並んでいてそれはそれでどうかという気持ちになる。miniUSBを買い、ついでに寄ったブックオフでは黄チャート2Bを200円で入手し、ミスタードーナツでドーナツを買って地元に引き返した。

 お昼には近所のカフェに入った。個人経営の店で、記憶の中では土日ともなれば満席になるような店だったのだが、この日は私を入れて4人の客しか居なかった。フルコースのランチを頼んだ。

 無くなってしまったら悲しい、と思うものの多さに呆然とすることが増えた。そしてその度、全てを助けることはとてもではないができないということを思って、むなしくなる。

 午後は翌日に配達員が来るということだったので大掃除と模様替えをする。お茶を飲んだり刀剣乱舞をやったりしながらだらだら数時間作業をし、ほぼ屋外のような様相だった部屋が引っ越し直後のようになった。きれいになった、というのではないと思う。生活をここでしている感じが全くしない部屋だ、と私は思った。それが一段落ついてから、ルネ・クレールの『夜ごとの美女』を観る。あまりにあんまりでしょ、というものがずっと映り続けるのでケラケラ笑いながら観ていたら、クライマックスでとつぜん原始時代から現代まで順繰りにタイムスリップしながらジョン・フォード式の馬チェイスが始まるのでびっくりした(しかも結構に様になっている)。ジェラール・フィリップもかわいいし。

 そして夜は約束の通り『快楽』をkastで繋げようと…したのだけれども、設定の仕方がよくわからず1時間半くらいうんうんうなりながらパソコンを弄っていた。音声の設定を弄るとなぜかすべての音が虫の羽音のごときものになり、戻らないのである。f:id:violence_ruin:20200412151028j:image

 結局設定が完了したのは22時半で、そんな時間から『快楽』とウォルシュの『死の谷』を観たのでちょっとぐったり。『快楽』は2回目だったけど、やっぱり2篇目のノルマンディー娼館の話が無類に良い。春の話なのもよかった。『死の谷』はやっぱりウォルシュは地味だけどストーリーテリングの手際が無類にいいなと思う佳作。崖とか列車はちょっと凄かったしジョエル・マクリーがかわいい。付き合ってくれた友人には感謝したい。

 

0412

 朝、親から電話が来たので話していたら、技術系の大学院を受けることが確定事項になっていてびびる。

 それから珈琲を淹れて、ゴダールの『はなればなれに』を観る。まあいいんだけど、まあよかったですね、楽しかったです、遊びもあって、みたいな感想になってしまう。他のやつなんか観た日にはどうなってしまうんだろうか。でも死ぬ方の男の顔は結構好みだった(フランス人じゃなかったら許されない感じの造形で…)

 午後は宅配便でパソコンや机椅子が来たので引っ張り出してセットする。先週トチ狂って買ったはいいけど、これ、何に使うんだろう……とりあえずVRChat入れてみた。あとかねてからやってみたかった中世剣戟FPS『MORDHAU』(https://mordhau.com/)を買ってみたけど、あんまり面白さがわからなかったので(操作のもったり感=中世っての、まあ実際そうなのかもしれないけど夢がなさすぎるし面白くない)返金してもらうことにした。プレイ時間が2時間以内なら返金してくれるのすごい。しかしそうなるといよいよもって使い途がないということになってくる(買って数時間でこの結論はあまりにも……)。

 映画もう一本見たかったけど疲れたので、平日がんばって早起きするか夜ふかしして観る。